鳥取地方裁判所 昭和41年(モ)238号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔決定理由〕本件記録によると次のように認められる。申請人は、被申請人との間の当庁昭和四〇年(手ワ)第七号事件につき昭和四〇年七月二一日「申請人(被告)は被申請人(原告)に対し金六〇万円とこれに対する昭和三九年五月一日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は申請人(被告)の負担とする。この判決は仮に執行することができる。」との敗訴の手形判決の言渡を受けたので、これに対し異議の申立をなし、かつ、右仮執行宣言付手形判決に基く強制執行の停止の申立をなしたところ、当裁判所は右申立を理由ありと認め、申請人に本件保証四〇万円を供託させた上昭和四〇年八月一〇日「右債務名義に基づく強制執行は本案判決あるまでこれを停止する。」との決定をした。ところが、右異議の申立に基き復活した当庁昭和四〇年(ワ)第一六二号事件につき申請人は昭和四一年一〇月一二日「右手形判決を認可する。異議申立後の訴訟費用は申請人の負担とする。」との趣旨の敗訴の判決の言渡をうけたので、これに対し、控訴の申立をなし、かつ、右仮執行宣言付手形判決(および右認可判決)に基く強制執行の停止の申立をなしたところ、控訴裁判所たる広島高等裁判所松江支部は右申立を理由ありと認め、申請人に保証として六〇万円を供託させた上昭和四一年一〇月二六日「右強制執行は同裁判所同支部昭和四一年(ネ)第一〇〇号の本案判決をなすまでこれを停止する。」との決定をした。以上のとおり認められる。
右の事実からすると、当裁判所がなした執行停止決定は本案判決(すなわち右の認可判決)のなされるまでの執行停止を命じたものであることは同決定自体明らかであるから、同裁判所の命じた本件保証四〇万円は右の執行停止によつて第一審たる当裁判所の本案判決がなされるまでに被申請人に生ずべき損害を担保させる趣旨のものであることは明らかである。ところで右控訴裁判所が命じた右の保証六〇万円が同裁判所が命じた執行停止によつて被申請人に生ずべき控訴審のみにおける損害を担保させる趣旨のものか、この損害のみならず、当裁判所のなした前記執行停止によつて被申請人に生ずべき第一審における損害をも担保させる趣旨のものかについてはその決定自体からは必ずしもこれが明らかでない。
しかし、本件につき前記仮執行宣言付手形判決による請求金額、第一審および第二審が命じた各保証金額を比較考量し、さらに民訴五一二条の二による保証の本来の性質、第一審における本案判決がなされるまでに要した審理期間、本案訴訟における請求権の性質等から予想されるべき第二審の審理期間等の諸点をあわせ勘案すれば右保証六〇万円は後者の趣旨のものとみるのが相当である。そうすると、申請人が第二審の命じた保証六〇万円を供託したときは第一審の停止決定に基いて申請人が供託した本件保証四〇万円はその必要がなくなつたものというべきであり、従つてその場合には右保証については民訴一一五条第一項の担保の事由が止んだことになるとみるべきである。(海老塚和衛)